急がば回りこんでドロップキック

後藤あいといいます。

キスのあとのアイスコーヒー

なにかと気にかけてくれて毎回ご飯を奢ってくれる先輩の鏡みたいな先輩が、私にもいる。

彼はいつでも私の味方でいてくれて、確固たる信念と共に生きてるかっこいい先輩。彼と話すと自分がとんでもないダメ人間に思えて、悩んでないのに私悩んでたっけ?ってな気持ちにもなる。

せっかく東京行くんで会いたいって誘って、下北沢の、彼っぽいおしゃれなダイナーでピザをつまみにお酒を飲んだ。

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帰り際、彼は私に、キスをした。

昔、良い女はキスのハードルが低いんだよね〜っていう自分には到底理解のできない、ていうか理解したくもない法則を百戦錬磨系の人に教えてもらってから、良い女を演出したいという理由だけでキスは避けずにするように心がけているのだけど、今回もその法則がよぎったんだった。

彼は、
「結局俺ってそうなんだよな〜」
と言って落ち込みながら謝っていた。

「いいですよ、全然」
「私もドキドキしてる」
「彼女がいなかったら、朝まで一緒にいたかった」

心にもないことを平気で言う。

罪悪感を感じて欲しくない。
彼にとって楽しい時であってほしい。
どうせ、明日になったら忘れてしまうんだから。
どうせ、奥に控えるのは性欲なんだから。

駅までの道を速度を落として歩きながら
私にもあったモテ期(軽微)時代を知っていた彼は、
「数々の男があいちゃんで落ちた理由がわかったよ」
と言う。

彼本位だったキス。それを私のせいにしてるような気がして、ちょっと腹が立つ。

好きな先輩が。貴重なプラトニックな男友達が。キャリアのこと、哲学っぽいこと、人生のこと、いろいろ話したのに、私にはインパクト強くてそれしか残らなかった。どいつもこいつも。悔しい。悲しい。残念。

帰って寝る気になれず、遠回りしてカフェに寄る。注文を聞きにきた店員さんの笑顔に感情を見ることができず、私は笑顔でアイスコーヒーを頼んだんだった。

眠気を取り戻したくて寄ったカフェで頼んだアイスコーヒー。苦くておいしくて、一気に飲み干した。

やっぱり私が悪いんでしょうか。

3連休の1日目、渋谷の住宅街、ゴミステのおじさん

3連休初日。友人がウィークリーマンションの近くで飲み会を開いてくれたので、歩いて帰ることができた。

5m間隔でネットで隠した燃えるゴミ。ああ、明日はゴミ日か、溜めに溜めたいらないもの、帰ったら出そうと思った。

5mおきのゴミステの密度、浜松と比較する。そんな変わらないけど、浜松では夜にゴミ出しする人はいない。早起きだから収集の時間に間に合うように出せるんだよねえ。

坂の途中のゴミステで、ガサガサと音が聞こえた。

見ないように見ると、おじさんがゴミ袋を指で破って、中をチェックしていた。そばに停めてた彼の愛車らしきチャリのカゴは、50%くらい何かで埋まっている。1時を過ぎていて暗く、見ないように見たくらいだったけど、綺麗なものは詰まっていないのはオーラから感じ取ることができた。

彼の横を通り過ぎると、その3m先に「日本はもっとよくなる!」と政治家のポスターが目に入る。ゴミを漁っていたおじさんはこの言葉、信じているだろうか。そもそも彼の目までしっかり届いているだろうか。

もっと先を歩くと「最良の環境、この街に住んでみませんか」っていう不動産屋の看板を見つける。安っぽいフォントだなと感じてから、少なくとも彼に当てたキャッチではないと思った。彼にとっての最良は分からないけど。

ただ、彼の横を通るときカバンにぐっと力を込めた自分もいたし、ゴミを出してその袋を破られて持ってかれてしまった住人とか破れたゴミ袋を見る通行人、風でまってくゴミを走って拾う収集の人は朝から良くない気持ちになるし、やっぱり私はどんな事情や趣向があれ、ゴミを漁ることは彼の最良とは思えないから、やはりここは最良の環境とは言い難い気がした。

せざるを得ないことをするなと言えないから、せざるを得ないことなんてなくなればいいのにと祈りっぽい願い。生粋のごみ漁り好き?趣味悪いね。

最良でないけど、好き。良いものと好きなものは違う。生きること即選ぶことなのだなあ。

非東京に対するコンプレックス

東京へ来て5日。ウィークリーマンションに近づくと、あー帰ってきたなと感じるようになった。特有の香りも認識できるようになった。

あと、私は東京に憧れているらしいことが分かった。

家の鍵をかけてから4分で電車に乗れること。そこから10分もしたら雑誌に載ってるオシャレブランドの旗艦店に着くこと。仕事の打ち合わせに行き放題なこと。やりたい案件がいっぱいあること。下品で頭が悪そうな人間が少ない(目に入らない)こと。免許のない私でも好きな時、行きたい場所に楽に安く着けること。かつての東京生活でできた友人・同志・同業の仲間に会えること。平日の昼間からスーツを着ていない独身アラサー女が1人でPCをいじっていてもジロジロ見られないこと。

憧れてる理由、具体的にはいろいろ持ち上がるのに、どれも決定打ではない。考える余地ありなので、帰る前までに明らにしたい。

しかし、私に東京への憧れがあったことに気づいた、これは大きな収穫でした。

両親と暮らすことが嫌だという理由で逃避行を実行したけど、もし両親と東京に住んでいたなら、ここまで、家出するように逃げるまでには至らなかったのではないか。

分かりかけていたのに!
決意しかけていたのに!
地元嫌いかも、で、急にこじれてきた!

私は東京が好きなんだ。
スペック足りず弾かれてしまうかもしれないけど、スペック足りず弾かれた人でもいることが許される街なんだよね、東京って。

温かいんだか冷たいんだか、寛容なのか無関心なのか分からんけど、いいなあ。大した能力もないのに、会社員じゃないのに胸張って歩けて、住み良いなあ。浜松、嫌い。

売れたいか趣味か図りかねるミニ劇団の俳優ブログみたいになった

仕事の打ち合わせが終わり、とりあえず朝飯っと外に出たら暑くて、朝と昼と夜のお弁当を買って、そこからずっと本を読んでました。

滝口悠生さんの「茄子の輝き」「死んでいない者」「寝相」と、和辻哲郎の「生きること作ること」(1000周目)というやつです。

「茄子の輝き」はKindleにないのですが、紙の本を読んだのは久々でした。わあ紙の本だーと思いました。脳みそがガチガチになって眠れなくなったのは、きっと滝口悠生さんの本を1日で3冊読んだからですね(良い意味)。

あと、今日締め切りの原稿を忘れてて(実は忘れてなかったのだ!)、やりました。

本、全部面白かったから(あくまで私は、です)リンクを貼っておきます。
和辻哲郎のは青空文庫だしすぐ読めます。
生きること作ること
茄子の輝き
死んでいない者
寝相