夜の父ちゃんについて腹立たしく切ない
父ちゃんが、隣の真っ暗な部屋でテレビにイヤホンを挿し斉藤和義の「ずっと好きだった」を小声で歌っている。
初老が「ずっと好きだったんだぜ」って言うな。
こちとら寝ようとしてるのにうるせえ。
でも、この怒りとともに、みなが寝たあと小声で歌うしか方法のない父の声だけを感じて、私はやるせない気持ちになった。
毎晩歌ってるけど楽しいのかな。生きてて楽しいのかな。
父が楽しんでいるのならば、明日からまたがんばって仕事行こうと思うならば、それでいいんだけど。どうしても哀れという単語が頭をかすめる。
もっと話したいけど話しかけ方が分からない。娘と話せばもっと楽しい。思い上がり発言だけど多分そう。でもできない。分からない。