つまんない夜
先輩と飯。
ボジョレーヌーボーというものを初めて飲み、ブドウの味がして美味しいです、と言ったら、嘲笑された。
かわいいかわいいと言いながら笑うので、演じる。嘘だよ!ブドウの味はするが美味しくはないよ!クソ!
その先輩は、自分の苦労話をヒョウヒョウと話す。ヒョウヒョウ感を繕いながら話す。他の先輩が負けじと苦労話を重ねようとして言うすごいね〜!を、そうですかね。だけで返して、にんにくとハーブを混ぜた臭えチーズを乗せたクラッカーを一口食べていた。
私は基本的に黙る。
ふと思い出したように、酔ったの?と声をかけられた時は、は〜い、と両手を真上にあげれば、過ぎる。
悩みがあったら言うんだよ、と諭された時は、また別のこういう会で、あの子こんなことで悩んでるんだって、頑張ってるよね〜、って屈託のない密告をするだろ、という気持ちを隠してモジモジしていれば、過ぎる。
いよいよ逃げられず、もしくはいよいよ解決できず悩みを相談した時は、まだ若いから、大丈夫だよ。私があいちゃんくらいの時はね、と言われて、過ぎる。
ヒョウヒョウ彼女の骨盤を倒した座り方と、肉を備えた猫みたいな背中を、酔ったふりをしてじっくり眺めながら、どんなに大きな苦労をどんな数乗り越えたのかなあ、と想像してみる。想像つかない。ほれ、私って若くてかわいいからさー。
悔しさ、反省等、今日はなんかつまんなかった、で押し込めた。安全第一な自分にやっぱり腹を立てている。
後、用もないのにいじったガラケーで見つけた拓哉からのメールが悲しかった。